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2005年02月17日
[ステージ]

オペラ座の怪人とハンニバル・レクター

陶芸家なおさん の「オペラ座の怪人」=「ハンニバル・レクター」説が面白かったので,もう少し補強になればと思い,書いてみます。 羊たちの沈黙 トマス ハリス

Hannibal Lecterはアメリカの作家Thomas Harrisの「羊たちの沈黙」(1989)、 オペラ座の怪人はフランスの作家Gaston Lerouxの「オペラ座の怪人」(1911) の「主役」として登場します。

The Phantom of the Opera

Thomas HarrisがLecter博士を生んだとき、どこかで小説「オペラ座の怪人」、というより年代的にはむしろAndrew Lloyd Webberによるミュージカル(ロンドン初演1986)から インスピレーションをもらったということは十分にありそうな気がします。

私は、さらにそれ以前に「美女と野獣」の物語が先にあったのではないかと思います。 「美女と野獣」は昔からあった民間伝承をMadame Gabrielle-Suzanne Barbot de Villeneuveという人が 1740年に出版したのが最初(Wikipedia)。 美女と野獣 ― スペシャル・リミテッド・エディション

この3つの物語の共通点は(なおさんの説も参考にさせてもらうと):
  • 醜さ・凶暴さ──野獣(B)、顔の爛れを隠す仮面と殺人(P)、殺人鬼(H)
  • 潜在能力の際立った高さ──王子の血統と美貌(B)、音楽(P)、知能の高さ(H)
  • 邪恋──略奪した村娘ベル(B)、歌手クリスティーヌ、後に略奪(P)、FBI捜査官クラリス(H)
  • 美しく聡明な若い女──ベル(B)、クリスティーヌ(P)、クラリス(H)
  • 閉じられた空間──古城(B)、オペラ座の地下(P)、監房(H)
(B: 美女と野獣, P: オペラ座の怪人, H: 羊たちの沈黙)

これらから「美女と野獣」→「オペラ座の怪人」→レクター博士という流れで物語のパターンが 受け継がれた(後の2つは悲恋バージョンですが)ということができるのではないかという気がします。 もしかしたら、このあたりは文学史的に研究した人がいるのかも知れませんが、ちょっとネットを検索した くらいではわかりませんでした。

この「醜さ・凶暴さ」が暗示するものは何か。
リンボウ先生 イギリスへ帰る  文春文庫 林 望 (著) 林望氏はロンドンでのミュージカル「オペラ座の怪人」を評した「独断、ミュージカルを評す」(「リンボウ先生 イギリスへ帰る」所収) の中で、怪人が暗示するのは、男の老い、姿が醜くなり死が近くなる恐怖だと看破しています。

老醜であるならば、「美女と野獣」のようなファンタジーよりも、後の二作のような「悲恋」が むしろ相応しい結末なのかも知れません。悲しいことですが。

そんなふうに考えていると、「オペラ座の怪人」などは日本の劇場の大半を埋める女たちではなく、大人の男こそ涙して観るべき作品ではないかという気がするのであります。


コメント(2)| この記事のリンク

■ ありがとうございます
とてもわかりやすい補足をありがとうございます。
ぼくもここまで構成力をもって文章が書けるといいんですけどね…
なんだか“本来のblogの、トラックバックの使い方”をしていてとても楽しいです。
なお、@ぐるぐる (2005-02-18 21:36:01)


■ こちらこそありがとうございます
面白い視点を教えてくださったのはなおさんで、こちらこそ感謝します。
さて、このやりとりを見て、もうちょっと深く、あるいは別の角度からも考察してくださる方がいればもっとうれしいのですが。(と期待)

yoshi (2005-02-18 23:02:12)

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